落合恵子さん講演会「自立と共存・・・『助けて』と言える社会へ」参加報告
2月26日(日)駿河台キャンパス・アカデミーホールにて開催された作家・落合恵子さんの講演会「自立と共存・・・『助けて』と言える社会へ」に参加してきました。
明治大学卒業生でもある落合さんは、ご自身のレジスタンスを目覚めさせた本や心に留めている言葉などの紹介、そしてご自身の生い立ちやお母様の介護のエピソードを交えながら、世の中のあらゆる差別にどう向き合っていくかをお話されました。
落合さんは、まず高校生の時に読んで衝撃を受けられた“僕は20歳だった。それが人生でもっとも美しいときだなんて誰にも言わせない”の一文ではじまるポール・ニザンの『アデン・アラビア』や、“私から年齢を奪わないでください。働いてようやく手に入れたのですから”とあるメイ・サートンの『独り居の日記』などを紹介し、婚外子として自分を生む決心をして育ててくれたお母様が受けてきた世間からの差別を感じとり、弱い立場の人間側に立って寄り添いたいと考える原点になったこと、そしてそのお母様が老いて認知症となり、介護をしてきた軌跡と葛藤も熱く語ってくださいました。
また、“偉い”人達が世の中を動かし、その結果、今の日本では子供の7人に1人が貧困であるという現実に、悲しみとその“偉い”人達にとても失望しているとも話されていました。
このような経験や思いから、女性や子どものための本の販売や出版、オーガニックレストラン経営を行うクレヨンハウスを設立され、そして原発の反対運動、東日本大震災被災者への支援など幅広く活動されています。
最後に被災者の方へ寄り添い作られた『空より高く』というCD絵本の歌を流し、歌詞を朗読してくださる演出もありました。
人が色々な差別を受けた時におかしいと言える人になれるかどうかということ、そして「I can’t live your life ! あなたの道はあなたにしか生きられない」というメッセージを私達やこれから巣立つ学生に残し、講演は幕を閉じました。
落合さんのお話に会場はどんどん引き込まれ、涙を流す人の姿もありました。信念をもって活動されている強い女性の印象と同時に、サイン会でひとりひとりに優しくお声をかけて下さるお姿に、人に寄り添う大切さを改めて感じる講演会となりました。