埼玉県東部地区父母会 文化研修事業実施報告
1月20日(土)小雨降る曇天。役員20名で栃木県足利に赴き、日本最古の学校である「足利学校」や指定障害者支援施設が運営する「ココ・ファーム・ワイナリー」など
<教育とは何か>
を考察しながら、役員相互の親密化も兼ね備えた文化研修事業を実施いたしました。
足利学校
日本の「学校」や「学び」はここから始まったとされる学問の聖地であり、日本最古の学校にして日本遺産第一号。
フランシスコ・ザビエルは「日本国中最も大にして最も有名な坂東の大学」、ルイス・フロイスは「日本でただ1つの大学が足利にある」と世界に紹介したとされる。
足利学校を訪れた人の中にはこんな方々も…
吉田松陰(嘉永5年)
高杉晋作(万延元年)
東郷平八郎(明治39年)
大隈重信(明治41年)
渋沢栄一(明治43年)
新渡戸稲造(大正4年)
◎先生や学生は?
校長(庠主)は当時の学問のトップレベルにあった学問僧が任命。
初代庠主は鎌倉五山派の僧、快元で易学の権威。
学生の大半は僧侶で全国から集まり、沖縄出身もいたと記録がある。
◎校則は?
室町時代に中興した上杉憲実が『学規三条』を定めた。
・足利学校で学ぶべき学問の内容や規則を守らない学生の在校を許さない
・就学に不熱心な学生の在学を許さない
・学生は入学に際して僧侶の身分となる
◎学費は?
学生が学費を払った記録は無く学校側が食事や宿舎を提供していた。
◎授業の内容と時間割は?
孔子の教えに基づく「儒学」を中心に易学を重視し兵学も学ぶ。
時間割はなく、自学自習が基本で中国の古い本を教科書として書き写し学んでいた。
◎卒業は…?
自学自習のため納得するまで学んだら卒業。
長い人は10年以上、短い人は1日だった。
足利学校創建の1人でもあり菅原道真と並び「学問の神」と称される小野篁像や孔子座像。
実が一年中なっていて落ちないことから合格祈願に訪れる人も多い「不断梅」。
池と築山からなる築山泉水式庭園は南庭園、北庭園共にとても素晴らしいものでした。
栗田美術館
江戸時代に肥前鍋島藩で生産された伊万里・鍋島焼のみを展示する世界最大級の陶磁美術館。
伊万里は日本で最初に作られた磁器で、オランダ東印度会社により西欧に輸出されており三万坪の広大な敷地に本館、歴史館、資料館、世界陶磁館、迎賓館に茶室や工房に登り窯、研究室や山荘など自然を生かし、山野草を中心とした作庭の中に点在配置されていました。
豪華絢爛な赤絵は圧巻。複雑豊富な形状も楽しく、身近な小皿や茶碗から花器や大皿、お洒落な香炉や壺、日本地図や世界地図に東海道五十三次を描いた皿など、とても興味を惹かれ見入ってしまいました。
何よりも鍋島藩で生産された伊万里鍋島焼のみを集め展示する、栗田英男氏の一貫した思想に感服。
クイーンのフレディ・マーキュリーもプライベートで来日した際に立ち寄り、大きな赤絵の壺を購入したいと懇願したとのこと。クイーンコーナーも設けられていました。
ココ・ファーム・ワイナリー
下から見上げても怖い38度の急斜面の葡萄畑の開墾話や、会社立ち上げまでの苦労話、ワイン作りまでガイドの方が丁寧に説明してくださいました。
◆昭和33年 特殊学級の中学生達と担任教師の川田昇氏により葡萄畑が開墾される。
◆昭和44年 葡萄畑の麓に指定障害者支援施設「こころみ学園」がスタート。
◆昭和55年 学園長の川田氏に賛同する父兄達によ
り、知的障害を持った人達をはじめ皆が活き活きと力を発揮できるようにと「ココ・ファーム・ワイナリー」を設立。
日本の代表的な伝統文化である能や茶の湯、生け花に加え金閣、銀閣に代表される新たな建築様式や庭園美、雪舟などが描いた水墨画の隆盛など、日本文化の源泉は室町時代に発展し、その室町時代を創った足利一族の故郷である栃木県足利は、とても素敵なところでした。
往路の車内では、これから向かう足利についてビデオで予習。帰路の車内では、次年度の方針や今後の父母会活動や、教育について様々な角度から意見交換もでき、とても楽しく有意義な1日を過ごすことができました。
今回、丁寧で快適に足利へ運行していただきました埼玉自動車交通バスにも感謝いたします。(K)