【静岡県】第15回 明治大学シェイクスピアプロジェクト〜 ヴェニスの商人 〜 鑑賞のご報告
学部間共通総合講座「シェイクスピアの現代的魅力」という授業の受講生を母体とする文化プロジェクト公演の様子をご報告をいたします。
会場は駿河台キャンパス、アカデミーコモン。
秋晴れの爽やかな午後の日差しのなか、3Fまでの長いエスカレーターでホールに向かいます。大勢の人たちのざわめきに、ふと周囲の方たちと言葉を交わしたくなりました。
「毎年、公演を楽しみに来ているが、年々人も増え内容も濃くなっているねえ」
「息子が明治大学に入学しました。それを知った友人が、明治大学のシェイクスピアプロジェクトは素晴らしいわよ、と教えられて知りました。以来、毎年きています」
等々のお話が聞けました。期待に胸が高まります。
1200人を収容するというアカデミーホールの舞台せまし、と学生たちはあふれる想いを体全体で表現していました。その姿はきらきらとまぶしいものでした。
その彼らのセリフは学生の等身大の言葉で伝えるために、コラプターズという学生翻訳チームによって台本が作られるのです。まさに学生主体のプロジェクトです。
そしてそれを文学部の井上准教授がコーディネータとして支えるという学生と大学とが一体となって行われています。力一杯自らを表現する学生たち、それを支える大学、OBの方々、満席のあたたかい観客、すべてが一丸となっていました。
今回で15年目となるこのプロジェクトに明治大学の懐の深さをあらためて感じました。
学生たちの軽妙な演技に会場には笑いの渦が何度も沸き起こりました。ラストは鳴り止まない拍手でいっぱいでした。
「それは秤にかけてはいけない」
本来くらべてはいけないものなのに、人はつい秤にかけてしまうことがあります。
「私が一番? 仕事が一番? どっちが大事なの?!」みたいに…。
シェイクスピアは古典演劇でありながら人間の普遍的な問題がちりばめられているからこのように愛され続けるのね、終演後そんなことをおもいながらエスカレーターを降りていくと、すべての出演者が挨拶に並んでいました。その姿にも彼らの純粋でひたむきな気持ちが表われていてまた拍手をしたくなりました。ステキな時間をいただきました。