【千葉県東部地区】第14回明治大学シェイクスピアプロジェクト観劇会の開催報告
「トロイア戦争 ~トロイラスとクレシダ~」公演を観劇して
11月11日(土) 12:00〜 於:アカデミーホール
2004年から始まった明治大学シェイクスピアプロジェクト(以下MSP)は14回目の公演を迎えました。
千葉東部地区父母会では、11日(土)の公演で一般公募を募り観劇してきました。
MSPは翻訳から演出、照明、舞台美術、音楽、脚本、衣装、パンフレットやチラシの制作など、公演に係る全てを有志の学生たちにより1年をかけて作り上げられたものです。父母会はもちろん一般の方々もこの公演を楽しみに待っており、毎年4000名近い多くの方々で客席が埋まります。今日も早い時間から開演を待つ人たちで賑わっていました。
今年度の「トロイア戦争~トロイラスとクレシダ~」は一般でも上演回数が少なく、シェイクスピア作品の中でもあまり知られていませんが、喜劇や悲劇といった従来のカテゴリに分類しがたい「シェイクスピア最大の問題劇」の一つと言われています。
MSPの上演台本は学生翻訳チーム「コラプターズ」により作られています。原文の翻訳から始まり、登場人物の台詞を作り上げて行きますが、今回の台本は「問題劇」であるためか悪戦苦闘し、例年以上の時間がかかり、何度も何度も検討を繰り返し台本ができあがったそうです。
舞台はギリシア神話にでてくるトロイア戦争。トロイアとギリシアとの戦争と、その中で繰り広げられる恋の戦いです。戦士の場面と一方で~トロイラスとクレシダ~この2人の恋の場面が交互に複雑に絡み合いながら進みます。
小アジアにあるトロイアのプリアモス王の息子の1人である王子パリスがギリシアのスパルタ王メネラオスの妻ヘレネを略奪しました。メネラオスは兄でギリシア軍の総指揮官ミュケナイ王アガメムノンにこの事件を告げ、アガメムノンの腹心オデュッセウスと共にトロイアに出向きヘレネの引き渡しを求めましたが、パリスがこれを拒否したことで「トロイア戦争」が始まりました。
開戦から7年が経過した頃、城壁に囲まれていたトロイアをギリシア軍は攻めあぐね、戦争は停滞していました。そんな中、トロイア王の息子トロイラスは神官カルカスの娘クレシダに夢中になっていました。クレシダも秘かにトロイラスを慕っており、2人の恋は実ります。しかし、トロイアの滅亡を予言しギリシアへ亡命していたクレシダの父親が人質交換で、クレシダをギリシアに迎える事を望み、人質交換は成立。トロイラスとクレシダは離れ離れになりますが、別れ際に2人は永遠の愛を誓います。
その後、トロイラスがギリシアを訪れる機会を得て、クレシダの様子を見に行くと、クレシダはギリシアの将軍ディオメデスに口説かれており、クレシダもそれに応じようか悩んでいる姿を見てしまいます。トロイラスは愕然とし、復讐を決意します。
最後はトロイアのプリアモス王の息子、英雄ヘクトルの死で幕を閉じます。
今回の戯曲は正直、とてもわかりづらく何故「問題劇」とされるのかがよくわかりました。
この難物に取り組み、見事に作り上げた学生のみなさんはさぞかし大変だったことでしょう。
ですが、さすが明治大学の学生!最後までよく頑張り、仕上げました。
今回は女子学生が「戦士」役で登場しましたが、「あれ?女の子?」と思えるほど違和感がなかった事が不思議でした。
観客には見えないところでしっかりと役割を果たし、公演を支えている多くの学生がいるからこそ作りあげられる「シェイクスピアプロジェクト」。プロの方の力を借りたとはいえ、学生が行うイベントでは他に類を見ないのではないかと思います。
まだご覧になられたことがない方は是非、1度は足を運んでみてください。学生の一途に一生懸命な姿に感動していただきたいと思います。