【千葉県東部地区】シェイクスピアプロジェクト観劇記
第13回明治大学シェイクスピアプロジェクト
「Midsummer Nightmare」公演を観劇して
11月8日(土)17:30~ 於:アカデミーホール
2004年から始まった明治大学シェイクスピアプロジェクト(以下MSP)は13回目の公演を迎えました。
千葉東部父母会は5回の公演のそれぞれ都合の良い日に集まった役員同士、4回に分けて観劇してきました。
MSPは翻訳から演出、照明、舞台美術、音楽、脚本、衣装、パンフレットやチラシの制作など、公演に係る全てを学生たちにより1年をかけて作り上げられたものです。毎年、公演を楽しみに待っている多くの方々で客席が埋まるとは聞いていましたが、今日も早い時間から開演を待つ人たちでホール前は長蛇の列でした。
今年は「Midsummer Nightmare」と称した喜劇の2部構成で、第1部「夏の夜の夢」、第2部「二人の貴公子」という別々の作品を組み合わせての上演でした。別々の作品でありながらもそう思わせないとてもわかりやすい1つの作品に仕上げられていました。
「夏の夜の夢」はよく知られている喜劇ですが、アテネの貴族や職人、森にすむ妖精たちが登場します。貴族は結婚に関する問題を抱え、職人たちは芝居の稽古に励み、妖精の王と女王は養子を巡り喧嘩をしているという別々の場面をいたずら好きな森の妖精“パック”が、貴族も職人も妖精も関係なしに混乱を起こし、最終的には円満な結末を迎えるというもの。
「二人の貴公子」は上演されたことがほとんどなく、シェイクスピア作品としては染みのないものです。従妹で親友でもある2人の貴公子が彼らの都市テーバイの敗戦後、捕虜として牢獄に入れられます。その牢獄から見た1人の王女を巡り決闘になり、勝者は王女との結婚、敗者は処刑が待っているというものを喜劇にしています。
学生たちが繰り出す舞台に引き込まれたあっという間の3時間でした。
開始や休憩の合図は一般公演で見られるような放送ではなく、登場人物の妖精たちが劇の一部のように演じて知らせるという学生らしい粋な演出がさりげなくされていました。
舞台で脚光を浴びるキャストはもとより、受付や会場整理、舞台裏などそれぞれの役割を責任持ってこなしていたキャストの数倍もの学生スタッフがいてからこそ出来上がるMSPは本当に学生を主体とした他では見られない公演だと思います。
プロの方々のサポートを受けたとはいえ、とても学生たちが作り上げたとは思えないほど素晴らしく、期待を裏切らない出来栄えに感動し、来年もまた観に行きたいと思っています。
文学部 平川 尚子